白い森で white forest 失恋の傷み

醜い人間

私は容姿に恵まれた。

小学生の頃から異性に付きまといを受けた。
今で言うストーカーである。

中学になる頃は何も感じなくなっていた。
手紙やプレゼントを貰っても何も感じない。
告白の押売りのバレンタインが大嫌いだった。
卒業式が終わると、学ランのボタンから何から何まで取られて無くなった。

人の傷みを感じない少年期だった。

ジュウハチの頃、近所の女の子が病気で夭折したと聞く。

思い出した。
友達に支えられながら、震える手で私に手紙をくれた色白の女の子。
その女の子の死を聞いた時、まるでカミナリに撃たれたような衝撃が身体中に走り倒れそうになる。
ろくに読みもせずにゴミ箱に消えた手紙。
そんな自分の所業に戦慄する。

身体の震えが止まらなかった。




墓前で涙が止まらなくなる。
オレは最低な人間だ。
悲し過ぎるその子に、何故もっと優しく出来なかったのか。
青春も知らず、恋も叶わず、ただ病魔と闘う日々。
そして力尽きて消えてしまった。
私は小さな子供のように泣きじゃくった。




それから周りからは人が変わった…と言われる様になる。
告白されれば真剣に向き合った。
恋人にはなれないが、友達として正面から向き合った。

だが過去の罪は消える訳ではない。

私が苦しむのは当然の事である。

苦しんで当たり前の人間である。



ただ容姿に恵まれただけの、醜い人間である。









今でも自分の所業に戦慄している。










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黒羽 ケイジ

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2 Comments

風花(かざはな) says...""
それが貴方の背負った罪?
だから翳が見えるのかしら?

不遜な男は好き。自分が容姿に恵まれたという・・・そんな自信は好き。
でも、貴方には翳がある。

それが何なのかずうっと考えていたの。

傷が癒えないのは、その翳が傷口を広げているのかも知れないわ。
2020.05.13 12:17 | URL | #zpbGWri6 [edit]
黒羽 ケイジ says..."風花(かざはな)さま"
不遜ですか?
そんな自覚も無いのが私のダメな所。
傍若無人で人の嫌な所が集約されてる様な男です。
翳も罪を重ねて来た所為なのでしょう。
風花さん、ありがとう。
2020.05.14 00:17 | URL | #- [edit]

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